農業と緑化活動
                    (担当 山下一宏)            活動報告まとめ
はじめに

 国際協力を自分が出来るかということを見つめたくて参加した趣が強くあるなか、現在は畑で何ができるか実験中である。(分野:蔬菜と緑化)
 畑の概要:年間降水量200mmから250mmの半乾燥地域。団体の敷地内300uの圃場。土地はラテライトで非常に乾燥し、養分のない砂である。潅水は、川からローリーで汲み上げたタンクの水をを利用。そんな中、畑での試みを始めた。
11月(11月21日より)
 以前にEM菌を利用した試みを行っていた圃場を利用。柵の補修や周囲の整理を行う。畑の耕起とともに路地でスクマウィキ(ケール)、コリアンダー、小松菜、ロケット(ルッコラ)、スピナッシュ(アマランサスの仲間で葉を食べるもの)、ヒユ菜、メイズ(ウガリの原料となるトウモロコシ)、オクラ、ニガウリ、スイカ、カボチャ等を播種。
 
12月
 播種したもののマラリアに罹り畑を中断、太陽の光の強さと乾燥の激しさにより、ほとんどの作物が枯死。その中でもオクラ、スピナッシュは耐乾性が強く、生き残る。一回目の作付から反省させられることが多々。当たり前のことだが、日本の温暖で湿潤な気候での作付がそのまま通じる訳がないのだ。
  ●反省点から次への取り組みに行ったこと。
    ・強光の為、光量の調節の必要性。
     寒冷紗の利用
    ・土壌をどう肥えさせるか
        ・川土の搬入
          ・雨季の雑草を利用した牛、ヤギの糞との堆肥の作成。(少量)
          ・液肥の作成。(少量)
 12月下旬より、縦1m×横2mの区画を4つ作り、それぞれ寒冷紗をかけて、コリアンダー、ロケット、スクマウィキ、ちんげん菜等の葉物を播種。また、インドセンダン(樹木)の種子が取れる時期であることから苗作りを始める。
1月
 元日よりマラリア、下旬よりマラリア、マラリアに罹る割合が多い月。実に活動があまり出来ない月であった。
  ●12月よりの試みの結果、反省
    コリアンダー:土壌の養分不足。約6週間で高さ5cmで開花。
    ロケット:   品種として不適と判断。養分不足。潅水の難しさ。害虫防除の必要。
    スクマウィキ:約6週間で本葉2枚、養分不足。潅水量の考察。初期育苗の必要性。
    青梗菜:    比較的、この4つの中では成長が良いほうであったが、養分施肥の必要と潅水量              の考察。虫害防除の必要。
 1月10日にオクラを初収穫(収穫までの日数58日間)2ヶ月間での収穫は、オクラ約10個。
 畑と向き合うことで、やはり適する品種が絞られてくる。
2月
 ●2月の取り組み
   マンゴー苗木定植
   苗木作り準備(ポット、用土、苗木台作り)

 今月は、畑と樹木を組み合わせて活動したいと思ってスタートした。しかし、自分のこれまでの3ヶ月の取り組みを見ていく中で、自分の満足と至らなさ、ここにいて誰を対象とした活動とするのかということが大切になってきた。自分の活動をより現地のニーズにあったものにしていく必要があるということ。自分のやっていくことと現地の人々の生き方に接点を持つこと、相手の生活を理解して何が必要とされ、自分は何が出来るか、自分の活動の中から何が出来るかを詰めていく必要性を感じている。そんな中、苗木作りを活動の中心に置くことにした。
 
3月
 ●3月の取り組み
   苗木造成、ポット作り
   各種樹木の種を播種
   花の種を播種

 今月の一番のトピックは、パートナーのアブダラー君が3月3日より手伝いに来ていることです。以前ガレージでの生徒でした。朴訥な彼は黙々と作業する顔を持ちつつも何故か野性的な面を持ち、余裕を持っている。畑を荒らす鳥や小動物を取るのが得意で、日本人には失われた人間の野性的な部分を学ばせてくれる。
 先月から活動の意義づけ、方向性について考えていた。現在は対象を住民に置き、目的を緑化活動とし、住民の自発的な意欲に委ねた普及ができないものかと考えている。
 具体的な活動は、苗床を造成し、ポット作りを行い、樹木、花などの苗作りを行った。樹木で現在育苗中の種類は、インドセンダン、タマリンド、ギンネム、ナツメヤシなどである。花の種類ではマリーゴールド、コレプシス、ジェラニウム等である。
 個人的に進めている畑では、トマトが定植時期を迎え、灌漑を用いて定植した。
4月
 ●ポット作り、ポット土詰め、藩種等の育苗作業を引き続き行う。
 ●樹木定植(ニーム、ワルバルジオ、ウガンデンシス)
 4月中旬から乾期より雨期へ移行しつつある様な天気です。本来は3月〜5月までは大雨期なのですが、聞くところによると今回の雨期は、雨がほとんど降らない短い雨期らしいです。
苗木の定植はやはり雨期の初めが良いです。樹木の生長や湿度が高くなると急に伸長するようになりました。5月の中旬で滞在半年となりますが、思えばこのレポートを読み返すともの凄く何かをしなくてはいけないと意気込んでいた自分が見えます。確かに何かをするために来たのであるますが、環境、病気、習慣、と違うこのガリッサでの生活を通して、日本での自分の無駄な部分が削ぎ落とされて行く中で何かを残したい自分というものが、ここの人々との間に壁を作っているのだなあと気づいています。自分の行いは、続けていく必要があるのですが、相手のペースを受け入れて淡々と行うことが大切であるというのが現在の心境というところです。
5月
 ●苗床作り
 ●ニーム播種
 ●Poting House用資材搬入

 今月は中旬よりVISA更新のためエチオピアへ2週間程滞在しました。エチオピアは、現政権に至まで様々政治的な経過を経てきた国です。この国の歴史はキリスト教と切り離すことができません。4世紀頃からオルトドックスというキリスト今日が国教とされていました。アクスム、ラリベラ、ゴンダール、バハルダール等、いづれも遺跡が残り、信仰心の深い信者が集う場所です。ハイラセラシェ皇帝が政権をに執っていた。1974年までは、キリスト教が国教で、またハラセラシェ皇帝の政権下が政治的にも宗教的にも国が安定していた時期のようです。多くの人に話を聞いてもこの時期の政治については、だいたい好印象を抱いていたようでした。その後は、1990年まで社会主義政権下におかれ、1991年より現政権の下に統治されています。社会主義政権下においては、内戦や近隣国との戦争が続いたようですが助け合いの精神と愛国心で頑張っているように見えました。
 私は、エチオピアの首都アジスアベバと北部のラリベラという町に滞在しました。ラリベラは前記しましたが12世紀頃に造られ、遺跡が残る町です。この町にはユネスコの世界遺産に登録されている石窟教会群があります。良く一枚岩から教会を掘り抜いたものだと感心させられました。当時の人々の信仰心の強さを物語っているように思います。
 また、この町ではFFFという日本のNGOが小学校で環境教育を通して植林の意義を説き、植林を実践する活動を行っていました。今後の私の活動に大いに参考にさせていただこうと思いました。
 人々が頭を下げて挨拶する様子などアフリカにしては何かアフリカらしくない、でもアフリカの不思議な国だという印象を受けました。非常に思い出深い滞在をさせてもらいました。また今回の滞在を通して感想地化はエチオピアの高地でも進んでいるのだと痛感させられました。

6月
 ●ポッティングハウス建設開始
 ●パパイヤ苗作り開始
 ●テイラー教室前植樹(インドセンダン)
 ●近所への苗木配布草の根で始まる(インドセンダン)

 ガリッサでの滞在も7ヶ月を超えました。ここの環境の厳しさを日々感じて過ごしてきましたが、6月位より南半球は冬に当たるので若干暑さが和らいできています。日中も木陰は涼しく朝晩も風があり涼しいです。しかし雨期であるのに雨が5月下旬に一度大きく降った後はほとんど降っていません。
今年は日本も空梅雨のようですが植物にとって水がないというのは動物にとってもそうですが死活問題です。地球上に植物が生えることの出来ない場所が拡がっている訳ですが、温暖湿潤な日本で育ってきた私にとっては体感することによって地球に様々な環境条件があるのだなと実感しています。ここガリッサの半乾燥地では植物を育てるにはやはり水やりをする人が欠かせません。先月滞在したエチオピアでのNGOの見学でヒントを得て、小学校で環境の話をしながら植樹を教えていく普及方法はどうだろうかと思いつきました。子供なら長く考えていけるだろう。子どもなら素直に吸収できるだろうと思い、考えついたアイデアです。
 また小学校で普及活動に用いるインドセンダンの育苗は一応一区切りを終え、今後はパパイヤの苗作りに取り組んでいこうと考えています。
7月
 ●ブーゲンビリア挿木
 ●小中学校で植樹の大切さを説く講話、デモストレーション活動開始
    実施校:Umu-Salama Secondary School
         Young Muslim Secondary School
         Bula Iftin Primary School
         Mamahani childrens home
 ●パパイヤ播種


 今月は、学校での普及活動に力を入れた月でした。講話で使う絵や話の内容の作成、学校訪問等、慌しく一ヶ月が過ぎて行きました。今までは畑での活動が中心だったこともあり、初めは少し気が引けていましたが何とかやりこなしているでるでしょうか。話は、現在の活動紹介、木の重要な役割、植樹の仕方、実践の4部構成で行いました。子ども達の眼差しが話を始めるにつれて真剣になっていくのが印象的でした。
         〜〜〜パパイヤの育苗〜〜〜

 12月〜3月の乾期にパパイヤの育苗を行いましたがその時期は気温が高く乾燥しており、また発芽率が低かったり、獣の食害にあったりと失敗に終わりました。環境と苗床整備が不良だったことが失敗の原因でした。
 今回、7月〜10月は、同じ乾期でも気温が低く人も過ごしやすい環境です。そのため植物にも好都合でした。今回は種取り、苗床の状況を全部確認していく形で進めていきました。基本中の基本ですが、種は新鮮で熟したものを使うこと(実が熟していること)、そしてパパイヤは草本性なので樹木に比べて結構水に細やかな反応を示すため野菜の育苗のように土壌表面が乾燥しないようによく気を配ることなどが上手くいったポイントだったと考えています。

 滞在日数も残り少なくなるなか悔いのない様、最後まで取り組んでいこうと思っています。
8月
 ●植樹の講話とデモストレーション(Hyuga Primary)
 ●植樹会(Umu−salama Secondary, Young Muslim Secondary)
       インドセンダン各100本ずつ校内緑化
 ●インドセンダン(ニーム)採種、播種
 ●ポッティングハウス完成
 ●セナ・シアメア播種

 8月は南半球では冬に当りますが、現在乾期真っ只中8月20日位より涼しさ転じて少しずつ気温が上昇しています。今月は、植樹関係では小学校で講話とデモストレーション、セカンダリー2校でインドセンダンの植樹会を行いました。講話で理解してもらう点と定植していく実践での点での伝わり方の違いに反省点を多々感じました。植物を自らで植えて関心を持ってもらうという点では成功でしょうか。来月も小学校2校で植樹会を行う予定です。

〜〜〜インドセンダン採種〜〜〜

 今月はインドセンダン採種を行いました。ここガリッサでは、一年のうちの2度目に当ります。(前回は11月中旬開花、12月〜3月採種、今回は7月開花)日本は四季がありその中で植物は生活パターンを作っています。ここ熱帯は一年が、気温の高い雨期(11月中旬〜12月中旬)気温の高い乾期(12月下旬〜3月)、気温の低い雨期(4月〜6月)気温の低い乾期(7月〜10月)の4つに分かれています。(年により時期が変動する。)そのため植物は2度の雨期をねらい花を咲かせ実をつけ種ができるわけです。しかし、種が出来るものの十分な雨が降らないわけで(年間降水量200mm〜250mmのガリッサ故)発芽がタイミングよく行われず、天然では更新しにくい、さらにインドセンダンの種子の発芽能力が2ヶ月ということで育苗することに意義が出てきます。
9月
 ●植樹会(Hyuga Primary) インドセンダン20本校内緑化
 ●インドセンダン採種
 ●インドセンダン、セナ・シアメア播種


 ヒューガ小学校での植樹会
 場数をそこそこ踏んで来ることで私自身も、アブダラも手伝ってくれているガレージの生徒も少しずつ人前で説明することに自身が就いてきているように思います。今回私は植物と触れることの楽しさを伝えたいと思って望んだことが効を奏したのか、子ども達が楽しんで植樹してくれたことを嬉しく思います。楽しい一時が過ごせました。降水が9月下旬には多少あり苗木の活着も進んでいることでしょう。子ども達の心に残った喜びが広がっていくのを期待します。

 アブダラの自転車
 今日、9月30日。仕事の帰り際アブダラの自転車の荷台にブーゲンビリアと花が載っていた。前から好きなときにいつでも持っていって植えていいのだよと言ってあったのだが、控えめな彼はずっと遠慮していたようだ。野性的で物静かな彼が「家に植えるんだ。」と行った言葉や微笑には植物や花に対する愛着がこもっており何だか少し嬉しくなってしまった。
結びに

 2004年11月中旬より、今日10月1日で10ヶ月と半年程アフリカ大陸にいることになる。そのうちガリッサには10ヶ月ほど滞在しただろうか。半乾燥地で降水も少ない厳しい環境の中、通算でマラリアには10回かかり10ヶ月のうち半分はベッドの上で過ごしたであろうか。
 ガリッサでの気候、活動を進めていく中で出会った人々、皆との間に作れてきたものそれぞれに価値があると感じるが、またこの5ヶ月間自分の弱さを思い、何もできない無力感の中で打ちのめされてきたことにも自分と向き合う大切な時間を費やせたと今は思うことが出来る。
 ここガリッサの太陽は現在、脳天を通り過ぎ地平線へと沈み足元の真下の地球の裏側を通って再び地平線へ昇ってくる。太陽の恩恵を温暖湿潤な気候と同様には得られないが熱帯の大胆な大陸と太陽の動きがそして自然の環境の厳しさがここで生活する人々の心の大きさを物語るのだろうか。まだまだ未知の世界だらけだが、この広さの中で自由に生活させてもらったことをガリッサの皆さまに感謝します。
 結びに、所長の土方さん始め機会を与えてくださったミコノの会の勝村さん、ミコノのスタッフの方々、困難を乗り切る貴重なアドバイスを下さった各機関の皆さま、その他大勢の方々へ感謝の念を伝えたいと思います。今後、後任のアブダラ君の活躍を期待して筆を置きたいと思います。
                                                  2005年10月1日  山下一宏