音楽指導

ママハ二・チルドレンホームにて

佐橋 あゆみ 

 ママハニ孤児院へ音楽指導に通い始めて2週間が過ぎました。
 ドレミの歌、
Happy BirthdayJAMBOなどの曲を手始めに、音楽に合わせて歌ったりピアニカで演奏したり、また折り紙やゲームをして子供達と楽しい日々を過ごしています。
40人近くいるこのママハニ家族に飛び込んだばかりの私はまだ、一人一人の名前を覚えるのが精一杯です。

 産まれてたった数日で道に捨てられた赤ん坊、母親に見放された兄弟、手足の不自由な男の子、下半身の無い男性や女性、聾唖者、精神病の少女、私の知っているだけでもみんな本当に様々な事情・身上を抱えいます。ハニ母さんがたった一人で
16年程前に始められたこの活動。

 子供の数が増えると共にようやく政府からの援助が受けられるようになってきました。当初は自宅にこうした子供達を預かり、近所を回っては食料を分けて貰いながら今日まで育ててこられたのだそうです。

 ガリッサにもいくつかある孤児院・施設の中でもママハニのような所は他に無いそうです。どんな子供でも我が子として受け入れるハニ母さん。

 このアフリカの大地の様に広く大きなその親心には本当に感動させられます。これこそが人間のあるべき姿の一つではないでしょうか。私にはそう思えてなりません。果たしてどれだけの人が彼女のような道を歩むことが出来るのか。私は彼女と出会ったことでこれからの自分の人生が大きく変わっていくような気がします。

 音楽指導の方はと言いますと、3歳から16歳までの子供達約20数名をまとめるのにてんやわんやの毎日です。

 ラジカセやピアニカを取り合い喧嘩があちこちで勃発。おさまったかと思うとまた別の所から泣き声が。。。

 最初はどうなることかと正直心配でした。思考錯誤の繰り返しです。上手に子供の相手になってあげる、同じ目線で肌と肌を触れ合い共に楽しみを味わう、そんな中で子供達もようやく心を開き始めたのではないかと最近感じます。 少しずつ懐いてくれるあの子達の姿を見ているとたまらなく嬉しいのですが、ふとした瞬間に見せる悲しげな寂しい顔にはなんだか足がすくんでしまうような、心苦しい切なさに襲われます。
 
「楽しい」という感情を子供達はあまり知らない、とハニ母さんは言います。もう結構お年を召された方で、自分が居なくなった後この子達はどうなるんだろう、と暗い顔をしてみえました。私がガリッサに居られるのは残り
9ヶ月。この限られた時間の中で私に出来る事は何か、それを子供達の中に残していけたら、と思っています。あの子達の見せるピカピカの笑顔に私はたくさんの元気と勇気をもらっています。

 それに負けない様、私からもたくさんの愛情でみんなを包んであげたいです。ママハニ孤児院で成長していく40人の子供達と一緒に並んで、私自身も少しでも成人させて頂けたらと思います。大自然の恵みを感じながらこうした貴重な経験をさせて頂けることに心から感謝しています。

        「ガリッサの笑顔に見送られて」

 
8月23日朝6:30。帰国のためナイロビ行きの長距離バスに乗り込む私を見送りに、ママハニチルドレンズホームから、子ども達が駆けつけてくれました。ずいぶん前に私が教えた「切手のないおくりもの」を歌いながら、じっと私を見つめるたくさんの目に私の心はしめつけられました。

 「あゆみ、行かないで。いっちゃだめ。」と涙をこぼし私の胸にうずくまる子供。
 「大丈夫。また、必ずみんなに会いに帰ってくるよ。」そう約束し、さよならの手を振りました。

 ガリッサに来て一年間、私はどれほど子ども達の笑顔に救われたことでしょう。孤児院のみんな、道ですれ違うソマリの子ども、オフィスの近所に住んでいる子、いつもまぶしい笑顔で私の名前を呼んでくれました。あの笑顔に勝てるものはありません。どんな悲しい時も苦しい時も太陽のように私の心を温めてくれました。

 アフリカの子ども達の背景には私達日本人の想像を絶する傷を負っています。その傷を愛のこもった布で包んであげることが、私達、人を助ける側にいる者のすべきことだと痛感したこの一年。

 今の自分はまだ子どもに助けられてばかりです。私にとって、これからが本当の意味でこの苛酷な現実と向き合っていくときなんだと思います。一人でも多くの子どもに、明るい未来と輝く笑顔を与えてあげたいと、今私の心に一つの炎が熱を持ち始めたのを感じています。

 そんなかけがえのないものを私の中にはぐくんでくれたのがあの子達です。私の人生を大きく変えてくれた素晴らしい一年間でした。
 最後に、いつも私を支えて下さったミコノのスタッフの皆さん、遠くの空から見守り応援して下さった日本の皆さん。私一人では通れなった道のりを、無事こうして新しいスタート地点まで連れて通ってくださったことに心から感謝、御礼申し上げます。本当に本当に有難うございました。皆さまの健康と幸せをいつも願っています。また、今度もどうぞ宜しくお願い致します。



                             2005年8月24日
                               佐橋 あゆみ

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